告別 feat. 石渡紀美

歌詞

真実なんて誰が知りたいかよ ましてや同情なんて不要 贈られた花が散り始める頃 思い出すだろう あるいは忘れろ！ 羨望に満ちた眼差しは 未来を縛りはしない 光射す庭の外へ 動じない空の下へ おまへのバスの三連音が どんなぐあひに鳴ってゐたかを おそらくおまへはわかってゐまい と 冬の教室で 密やかに詠み上げた詩 あの 詩の名前や 作者の名前 あるいは 仮名遣いの欠片さえ おそらくおまへは憶えてゐまい 未来を生きる旅人よ いまおれは過去を生きている 未来を歩む旅人よ あの日の純朴さと希みに充ちた たのしさのままに どうか善し悪しなど置き去りにして ただ天馬のように駆け抜けていけ もっと遠くへ行けるはず もっと高みが呼んでいる だがどうだ 髪は抜け 歯は汚れ Who wants to know the truth? 血管の浮き出た手の甲で 抱えきれない花束を 死を内包した光の森 兜率の天にも似た 甘やかな森の中で 一時の再会が果たされたならば これまでとこれからの話をしよう 夜明けまで 語り尽きて またねと別れたら 離れ離れの果てに 絶対の孤独を いつか おまへのバスの三連音が 強さや 正しさを 誇示するように響いたならば おれはおまへをもう見ない なぜならおれは すこしぐらゐの仕事ができて そいつに腰をかけてるやうな そんな 多数をいちばんいやにおもふのだ 光の中に影がある 闇の中だから光がみえる もっと遠くへ あるいはすでにここにあったのか 訪れは黄色い花 足元から 頭上から 大地から 天空から 贈られた花が枯れる頃