学舎をみたしゆく春 をさなごは口々に花のゆくへを 告げて 呼べぬ 名の代はりの詩の 一章(ひとくさり)こぼして 鍵盤(キイ)は鳴りやまざりき Magnolia 半巾落しの輪を抜けて少女を終へし 日のやはき影 おもふだけ咲かしめよ 花ゆるさるるもゆるされざるもなき 野辺にゐて 忙しさと烈(はげ)しさの狭間で こなすことを覚えた哀れな教え人を 揺さぶり顫わせたピアノの音 午砲(どん)が鳴って 学校の外へ飛び出せば 園児たちがアブソープする お遊びの汽車ごっこ いま思えば、あの時すでに 汽笛は鳴っていたのだろう I will leave it to chance (運命に任せましょう) I will leave it to chance (運命に任せましょう) I will leave it to chance (運命に任せましょう) I will leave it to chance (運命に任せましょう) 「電車がストライキなんですって」 そう聴いて別の駅まで歩いていく 桜草の咲く丘に 見知らぬ他所の街 もう行き先はどこでも良くて 「地久節に会いましょう」 想い出したのは旧友との約束 ヴェルレーヌの詩と花の髪飾り わづか火を抱くやうにして 汝がうちの不実あるいは 終はりのさくら 折るほどの 筆持たざるにひともとのなづなを 冷ゆる胸へと摘めり ゆびきりのゆびしめやかにはづされ て枯らしてしまふばかりの五月 みどりなす木立を抜けてゆきませう わたしたち春を知つてゐるから I will leave it to chance (運命に任せましょう) I will leave it to chance (運命に任せましょう) I will leave it to chance (運命に任せましょう) I will leave it to chance (運命に任せましょう)
