濃霧の向こうに貴方の姿 ぼうやりと溶けて消える 私の事 見えねども 何を知らなくても 小舟は今日も動かぬまま 客人を招き進む 今日も郷は吹雪いている 悪い知らせを待つみたいに 目を細め笑う顔を何年と 見ていない私だ 仄かに香る 甘い匂い昨夜の食卓の匂い もう一度 貴方の手が私の頬を撫でるなら どんな言葉も刃も受け 入れていきたいと思う 逃げ出すことも出来ない この湖畔の真ん中で 私の愛しい恋の華 人目を盗み育っていく 待ち人は また紫煙を吐く 何故か不味そうに その肌が恋しい時 えも言えぬ様な吐き気に惑う 胃をせり上げる酸っぱい匂い 誰かの恋の香り 何度も話をして か細い愛に気づけたなら 私のこの力の理由を 気づいてあげれたら 奪われるもの奪うもの 幼き日の網膜に残るもの 今が幸せと言えないまま もう一度 貴方の手が私の頬を撫でるなら どんな言葉も刃も受け 入れていきたいと思う 逃げ出すことも出来ない この湖畔の真ん中で