嵐の前の日 闇夜に迷って 静かに迎える 朝を待っている 消えゆく月とか 枯れてく花靄 夢でも見ながら 春を待っている 眠らせて 夜の向こうへ ひらり 素敵に欠伸をしよう 溶けた雪 濡れた靴紐 まだ白い息から君を覗いた 座礁して 黒い海 呑み込む 魔法を 虚ろに 唱えた 波間に 消えゆく 私と季節は夢と知ってる? 漂って 肺が朽ちるまで 無事に帰れたら 合図を送ろう 書き掛けの本も渡せない まだあの日浮かんだ 君を待っている 触れさせて 春の淵まで ひどく透明な夜に溶けた 終わらせて 夢のつづきを 閉じて ふざけた握手をしとこう 這入った街 欠けたレコード 藍白い月から 針を落として 泣いていたの 左目の あの子がまた 映り込んでいて 今日も少し 笑いあえば 手を離し さよならを言う はぐれた猫とか 音とか匂いとか 気付けばゆらゆら 春を待っている