シャンシャンシャンシャンシャン 箱提灯ゆらゆらゆら 八文字でカッカッカッ 憧れてゐた高嶺の花 禿修行のにつちもさつちも 行かなひ日々も遂に区切り 光栄へる遊郭に咲く 蝶の名は「市梅」御見知り置きを でもね、わちき戀をしてゐる ひとつ後ろ傘をさす人 貴方様想ふ此の胸が 柔き常夜灯の如く燃ゆる 抱き締めてわちきの 愛し人よ 夜に咲く花魁道中 運命を赦しておくんなまし 此の心濡らすのよ哀愛がサ 鐘四つカンッカンッカンッカンッ 吐息鳴らすアッアッアッ 庭雀がチュンチュンチュン 憧れてゐた貴方様の花 ふたりに帰る場所は無ひ きつと此の戀も叶わ無ひ 泣ひて藻掻ひても 愛して仕舞ふでせう 消えぬ常夜灯に 蝶は何想ふ ずつとわちき信じてゐる 貴方様との穢れ無き愛を 傘が、貴方様が居るから 悲しみも耐えられる氣がするわ 抱き湿つて届かぬ遠きひと夜 狂ひ咲く戀は未だ途中、 派手な帯を緩めて夜を売る 終わらなひで。貴方様との相合傘 「さあ、 ふたり此処から逃げませう」 ひとつ後ろ貴方様囁く 幾度夜を越えやうとも 触れられなひ愛は門の外 噛み締めてふたりの哀しひと夜 ずぶ濡れで花魁道中 此の街は如何しても逃げれぬのに 高下駄を脱ぎ捨てて走り出す 抱き〆るふたりの哀しひと世 夜空見上げ花魁心中 泣かなひで。来世でまた逢ひませう 相合傘、哀愛がサ燦々だわ