灯も絶えし裏路地にて 哭く子の声に影ひとつ その顔は鬼か仏か 般若の面の男あり 誰ぞ彼 人の情を裂き 恋路を裂きし憎み買う されど問えば口は閉じて ただ風の音 背に従えり 面に映すは鬼の貌 されど偽らぬ我が誓ひ 愛も憎も背負ふ覚悟 此の身 炎となり果てん 幼き折 手をのべし夜に 父は他の女へと 泣き崩れし母の嫉妬 胸に沁みたる朱の影 狂気の末に刃を振るひ 愛を誤ち血に染めぬ 法に縛られ母は逝き 残されし子は声も無く 今は怖れられしその貌で 幼き手を守るため 怨みを買うも厭わぬものぞ 面を被りて夜を往く 誰も知らぬ面の下に 涙は落ちて火となれり 未来を照らす鬼の灯り 哀しき夢を繰り返さぬため 面の奥に人の貌 願ひはただ一つ 笑む明日 愛も憎も越えてなお 此の手 灯火 掲げんとす 此の身 炎となり果てん
