立てば芍薬 風ぞ誘へる 面に映ゆるは朝の光 たれのためにぞ咲くにあらねど 我が信ず道ただ歩まなん その背すら物言わずして 眼に映る 春のうつろい 其方は真 咲くが如し 凛と立ちぬる芍薬の花 座れば牡丹 しとやかに咲く 一片ごとに憂ひを秘めて 笑みは嫋やか心は揺るがず 世に咲く術を知るる者なり 袖にほの 香り含めば 誰が胸にも夢うつしけん 其方は真 咲くが如し 華を讃へて牡丹の花 歩く姿は百合の如くに 静けき道に香を携へ 誰ぞ知らねど目を惹かれなん その背姿に風さへ止まる 寄る辺なくなお真直に 踏み締めたるは己が心 其方は真 咲くが如し ただ美しき 百合の花よ いづれの花も咲くままに 誰が決むるか美しさなど ただ己がままに風に揺られて 今日を咲きぬるそれで良からむ
