妙に残った小さな記録が なぜか長く胸を通り抜ける 蒸した部屋と草木の匂いを 去年のままの肌身で感じた とうに大人になったのに ちぎれたパンのようにばらばら はじめての終点 こどもの寝汗と ひとつの人生につながるように 二階の窓から ぶらさがる日常が過ぎる 昼間のラジオが時を止める 死んだ人達の生き様に すがるように生きる 遠くなった景色を追いかける 不自然なくらい はしゃいで生きるのだ 低気圧がぱちりと割れて ひとつの雨が降り流れおちる どちらを向いてもうわの空なら 今をくくりつけて進んでゆく 愛しさはこわくて落ち着くな つなぎたい心ほど不器用になるな 二階の窓から差し込む現実を生きる 昼間のラジオが時を刻む 生きる人達の行く先を 揺らすように生きる 過ぎさる今日でも遅くはない 不自然なくらい はしゃいで生きるのだ
