貴方は今日も同じ話をする 手で砂を掬うように 記憶を零しながら 昔のことを昨日のように 風が吹いた また砂が舞った 僕もその手に砂を装う 明日には消えてしまうと分かっても ねえ ねえ ねえ 雨よ、降って 今日が飛ばないように 梅雨を待って 潤ったら 紫陽花を植えよう もうずっと 僕が消えないように されど風はまた盗んだ 貴方は僕の名前に詰まる 朝のニュースで 知らない人が死ぬ度に こんなに胸が痛いなら 貴方が居なくなってしまったら 僕は、どうなってしまうんだよ ただ、降って 言葉が枯れる前に 僕の心も一緒に 枯れてしまえばいいのに 貴方は復習った 僕を忘れぬようにと されど空は尚、青くて 今日も雨を祈る ふわり 貴方の砂が飛んでも 僕の世界は 貴方でいっぱいなんだよ さらり さらって 貴方を撫ぜる白南風 時を超えて 僕が居ない世界へ 待って 貴方は僕に問いかけ 名乗った 貴方が付けた名前を ねえ、僕だよ 分からなくて良いよ 雨を祈っている 涙も紛れないままに 舞って 僕が他人になっても 最期まで この部屋で生きていて欲しいんだ