予定はないけど バイトを休んだ 独り 形だけの蝋燭灯して 今日は僕は特別なんだ、と 顔も知らぬ人に 「ハッピーバースデー」を乞うた 虚しくなって 消した。 祝ってほしい気持ちが 人並みにあること 透けるのが怖いだけ この夜が香る 白い壁が寂しくて どうか こんな日が二度と来ませんように あの日からずっと 怖いんだよ こんな僕なんかが 生まれてしまった 記念日よ 他のどんな日よりも 不幸じゃないか 愛され損ねた分だけ 悔やんだ分だけ 積もっていく 齢が僕には重くてさ もう偽ってしまいたい 昔は僕も 今日が楽しみで仕方なくって 誰かに気付いてもらいたくて どこか主役になった気分 早足になって教室へ 「今日、誕生日なんだ」 言えなくて 心にしまった記念日よ あの頃から 何も変わってないじゃないか もう逃げたくて 逃げたくて 逃げた分だけ歳をとって どうしたらこの数字に見合う 僕になれますか 穴だらけになったケーキに トドメを刺した 終わってしまえよ 記念日よ 今日はどんな日より 寂しいじゃないか こうして僕は今年も 独りきりで また一つ 馬齢を重ねてしまったの 甘え生きてきた罰だ ただ戻りたくて 戻りたくて 願えど二度と戻れなくて どうしたらこの数字に見合う僕に なれますか