夜がまた無感情に 僕の身体を運んだ すぐに白髪混じりさ 交差しては離れる 高層ビルたちの群れ 音よりも素早く 僕の目を焦がした 不意に見えた山吹色 あ と声が出て 夜を破くその塔が 黒を滲ませる 夜空は果てしなく碧く蒼い青 貼り付いた憂いが剥がれ落ちる 街中の灯りをふっと吹き消して 少しだけ遠回りして帰ろう 凍えた気持ちすら 今はケトルの底 溶かしてしまえればなあ 煤けた気持ちすら 粉々に砕いて ぽたぽたと落とした ぽたぽたと溢れた マグに浮かぶ月明かり あ と声が出て 十六夜 闇を散らせよ 黒を滲ませて 夜空は果てしなく碧く蒼い青 ささくれた心が空に溶ける 彼方の摩天楼に軽く会釈して 最後の一口を 飲み干す 夜よ この素晴らしき夜よ どうか このまま眠らせて 夜よ この素晴らしき夜よ どうか白むまでそばにいて 夜空は果てしなく碧く蒼い青 ささくれた心が空に溶ける 耳に残り錆びつくこの激情を 紫煙に乗せて捨てた 夜よ この素晴らしき夜よ どうか このまま眠らせて 夜よ この素晴らしき夜よ どうか白むまでそばにいて