棺は方舟めいて 君を遠くへ連れて行く 金色の麦畑は永遠に続き 静かに踏みゆこう 背に立つあなたの名前を 忘れても 誇りだけは抱きしめて 一緒に汚れたい 笑えなくても 二人の家へ 帰りたい 半世紀に渡り さがし続けたきらめき 手に余る哀しみ 孤独さえも 彼は絵の中に隠した どんな熱さもいつかは 冷めるとしても はじめて知った重みがあった 涙が流れた 濡れた風に 果実は匂いさざめいた 走り去ってく君の声 薄れて消えるまでに 祈り 花より深く 優しい歌 刻めたら これだけは信じていなきゃ 開いたドアを 閉じてしまわぬよう 何もかもが 美しかった 旅立ちには 少し早いけれど 古びた揺り椅子の中 絵筆を握り締めたまま 老人は命を燃やし尽くした もし許されるのなら 贈り物を捧げよう ありがとう 走り去ってく君の声