聞こえなかった 最後の一言が 近づいてくる サイレンの音に かき消されて 目が覚めた 冷たい あぁ冷たい 朝がきた 遠いカーテンの隙間に見えた 冬の表情に 何故か苛立ちと虚しさを覚え 逃げるように 閉ざすように この部屋を出た 弱いね 弱いよね まるで凍りつけられたかのように リビングもキッチンも変な 置物だって 全部あの日のままだから 幸福で残酷な出口のない 冷えた記憶を抜け出せぬまま 当然のように捨てられた チラシの中に 偶然、見つけた 好きだった場所に 家が建つと 見出しがあった 何かの終わりを告げるように 冷えたソファーに崩れ落ち見つけた 見覚えのある参考書 ページを開くと君の丸文字で がんばろうね あと少し 涙が横に流れ落ちた 弱いね 弱いよね 冬の星空の下で誓ったのに 忘れてたふりをした その方が幸せだって 全部自分の為だった 戻らない 戻れない やっと気付いた ここを抜け出して続きを 生きてゆこう 秒針の針が動き始めた 氷は溶けて 命や想いは 巡り巡ってゆく あの日 君が残した最後の一言 太陽が隠れる記憶の向こうから 囁くように 今 聞こえたよ
