暗い黄昏の底で 背伸びした影 置き去りの季節が 息をひそめている 言葉にできない想いだけが 胸の奥で揺れていた 街の灯がひとつ、またひとつ 遠くで滲んでいく 誰かの笑い声が 夜のはじまりを告げた 冷たい風に混ざる 夏の匂いがまだ消えない 忘れたふりをして 立ち止まっていた 手を伸ばしても届かない 君の声が胸を刺す 閉じかけた記憶の扉を 光が叩いてる 雨のあとに残る 水たまりを覗き込んで そこに映る過去と今が ゆっくり重なっていく 心の奥の静けさが 世界を遠ざけて それでも目を逸らせない 君がいた場所 暗い黄昏の底で 背伸びした影のまま 動けずにいる僕を 季節が追い越していく もう戻れないことを わかっているのに 夕陽の欠片をまだ 手のひらに探してる 手を伸ばしても届かない 君の声が胸を刺す 置き去りの季節の底で 僕はまだ生きている 暗い黄昏の底で 背伸びした影が滲む さよならの手前で 光だけが残った
