三日三晩 降り続いた雪がやむと 路も見えないぐらいの 白い世界が広がって 駅へ急ぐ人達が 白い息をはいて 僕の前を 通り過ぎてゆく 公園にたたずむ こわれかけたベンチにも まっ白い涙は降り積もり さびたブランコの鎖は 僕の体を縛りつけ すべり台の階段は 青い空へと続いてゆく 砂場に咲いた小さな赤い花を つみとって ふるえる指先で ダイヤルをまわす 花びらを ひとつづつ ゆっくりちぎり取って 見上げた夜空には また白い雪 冷め切った僕の心は 何ひとつ感じなくなり あの頃と変わらないのは 公園が好きだったこと 昔母とよく来た この公園のすみっこにある ベンチにすわって サイレンがきこえて 三日三晩 降り続いた雪がやむと 路も見えないぐらいの 白い世界が広がって 駅へ急ぐ人達が 白い息をはいて 僕の前を 通り過ぎてゆく