いかに光がなくとも それは花びらの色と 分かるように頬を撫ぜ 春と知らせる夜風よ この世じゃあ体をきっと すぐに持て余す 天下 愉快や夜道 月が我が身を磨く 君が春を謳えば 今に夜風が哭くよ 流れるままに過ごせば ひとつのことに気づいた 手に入れてみたいひとは さくらの匂いがすると たとえ足元に何を 埋めていようとも 君の孤独を知れば 笑う悪魔の涎 今日も優しさを理由に 君の体にふれる 「言い忘れた。涙は嘘です。」 ただの意地だと知っている そう、わたしたちならばかなの 上着のすそを引いたり 背中の皮ふをつねったり 意気地がないの さようなら まるで泥仕合 ここで小首かしげて 君を見遣り黙れば すべて思いのままに 今この時は得たり 「言い忘れた。笑顔は嘘です。」 なぜただ生きるだけでは いけないのですか? 天下 愉快や夜道 月が我が身を磨く 君が春を謳えば 今に夜風が哭くよ 仏みたような君も きっと同じようなものだろう ぜんぜん渇かぬのなら うっかり落としてしまうよ 命が惜しくば求めよ