季節外れの 花火が咲いた ひとしずくの 赤が夜を濡らす 声も出せずに ただ見上げて 消えてしまうのを 怖れていた 指先に まだ残る熱 「続けばいいのに」と呟く声 光は落ちて 影に変わり 胸の奥でだけ 揺れている 線香花火 ぽとりと落ちて 二人の夜も ほどけてしまう 続けばいいのに 続けばいいのに 願いの火花は 闇に溶けた ひとしずく ぽとり ひとしずく ぽとり 夏を忘れた 空の片隅 秘密の恋は 灰になっても あなただけを 焦がしていた 永遠よりも 一瞬を 線香花火 ぽとりと落ちて 二人の夜も ほどけてしまう 続けばいいのに 続けばいいのに 願いの火花は 闇に溶けた ひとしずく ぽとり ひとしずく ぽとり