リノリュー厶の廊下を吹き抜けて 誰もいない校舎をひたす風が ああ 夕焼けに染まる 長机にチョークを降らす 長期休暇の真ん中の ひどく退屈な午後に 伸び上がって目を閉じれば 音もない吹き溜まり 悲しいことも何もなかったけど せめて僕がひとりきりじゃないなら 命がけで瞼に口づけて 何も言わず早足で歩いてた ああ 夕立に濡れた アスファルトに響く足音 ひどくくたびれた僕が 腰を落として火を付けた 振り向いて君が覗く 夏の夜に咲く花火 ずっと笑っていられますように この街でひとりきりじゃないから 花火を持って月に照らされて 僕はなにひとつ忘れないでいたい 長期休暇になにもない ひどく気楽なこの僕の 予定を君と埋めていこう パズルピースのようにほら ずっと笑っていられますように 君とならひとりきりじゃないから 花火を持って遊びに行くよ 大きな月が照らして 君が手を降る窓へ 僕は連れていこう 遠く伸びる影を 迫る夜のとばりを駆け抜けて アーチを架けて明けてゆく空 大きな欠伸をして 泣き笑いをするとき 僕は何ひとつ忘れないでいたい またひとつ夜が通りすぎてく