土砂降りの雨に降られ ネオンを揺らす風に 背中をおそわれて 雨宿る僕のポッケの 煙草はあいにく全滅さ 骨の折れた傘に引きずられ 走り去った人影も 何もかもが汚れて見える 洗い流すんだろう無意識の罪を 都会に暮らす僕らの耐え難き饒舌を 雨は名ばかりの月の雫だから 今日は星が見えないんだろう 水をはね走るバスが 静かな旅人を乗せて街を行く がらがらの路面電車は 今にも転覆しそうな舟のよう 灰色に煙る東京で 花のシスコに憧れて 雨の音を聴いていたいんだ 忘れてしまうだろう 別れのダンスだろう 回り道をするほど真っすぐな行程を 雨は名ばかりの月の雫だから 今日は星が見えないんだろう 笑い飛ばすだろう 土砂降りの夜を 熱く息をするほど遠ざかる明星を 雨は名ばかりの月の雫だから 明日の朝に街を照らすだろう