先の見えない長い旅の支度 空っぽの部屋の真ん中で トランクひとつ 眺め見るのはひどくしおれた 右上がりの文字が 景色を綴る君の手紙 気が遠くなるほど長い手続きして 駅から一番近い店で地図広げて 思い起こせば君が町を出て ふたつ冬が過ぎて すれ違って忘れてゆく言葉 走る 僕を乗せて軋む汽車は 遠くに山を動かして 走る 町を捨てて君のもとへ 明日の朝に着くように 走る 走る 君が見た景色を辿ってゆく旅 ホームに立つドアが開く 走る 僕を乗せて軋む汽車は 遠くに山を動かして 走る 町を捨てて君のもとへ 明日の朝に着くように もうすぐ夜が明けて長い橋を渡る 曇る窓を照らして新しい陽が昇る 遠くに海は荒れて長い旅も終わる 言葉が見当たらずに 僕はただ眼をこらす 最後にもう一度だけ手紙を読み返し うまく言えない君の 言う通りだと思う