あれから長い時が過ぎ 辺りは既に砂に覆われてしまった ように思われたが営みは未だ 確かに残っていた 陽射しは僅かに 木の芽を照らして呼吸を教えた 怒りも悲哀も纏めて 吸い込んだ花は燦然と咲いていた 反乱も無くて 革命も無くて ただ漫然と過ぎた時間の果てで今も 奇怪な装置と共鳴し続け その生馴れなデータで何かを 変えようとしている 束の間、 浅い眠りから覚めきらぬような 靄がかかって あなたは冷めたコーヒーを 啜ってはまたディスプレイと 対峙した 計算の順序も 4ページ漫画も 犬も猫も人も嘲笑するだけでただ 厭世を育て猛虎と手慰み そのでっかい自意識と想像だけを 握りしめ 賛称も無くて勝算も無くて ただ堂々巡りの自分を削ってでも AIが全部やってくれるのに まだ必要ですか私の歌声が 音楽が鳴ったら 体躯など死んでも 誰かを救ったら 対価など無くても 見向きもされずとも 信じ続けている あなたが叫ぶ限り 私も鳴り続けるから