夕立が急にあがった路地裏は透明 跳ね上がる雨雫の音が織りなす和音 気怠い五時のサイレンの 余韻が薄れていくその前に 迫る宵の渚を二人肩寄せて 水彩画の季節の中で風がゆれている いつか夢で見たような 雨上がりの午後 読みかけの短篇集を一行呟くの このまま何処か遠くまで行きたくて みだりごと流されて アスファルト浸す さっきまでの憂鬱さえも 二人織りなす和音 あの甘いくちなしの花の香が 角を曲がって漂ってきたら 表通りを夏が静かに過ぎていく 七月の装飾窓に映った景色 週末の喫茶店で頬杖をついて ストライプのシャツを 着ている恋人と二人 このまま何時までも 続いていく青い風景