春は嫌いだ。 あの日の思い出がよみがえるから。 別れを告げる君は涙を浮かべながら 笑う 春は嫌いだ。 過去の君が僕によみがえるから。 泣き腫らした目、無理やり笑う顔 鮮明に浮かびあがる 桜が散り始める 最寄り駅で 数本しかない上り列車に乗って 君は行く たった2人きり 静かなホーム 遠くに聞こえる列車の走る音 近くで聞こえる君の泣き声 春は嫌いだ 君の涙を思い出してしまうから その赤い目を、その濡れた頬を 僕は忘れられないんだ やって来てしまった列車 ひとりのって 窓から見えた 涙拭う君が 好きだった 君が好きだったことを 言えない僕は弱虫 春は嫌いだ あの日の思い出がよみがえるから もう何度目の春が来ただろうか 外の桜だけが散る 「春は嫌いだ」 そう呟いて煙草に火をつける 大人の君を思い描きながら 煙を肺に吸い込む 元気でいますか? 東京の春は少し寒いけど 君がくれたあたたかい日々が 温もりを忘れさせない 春は嫌いだ