衰生夢死

歌詞

缶珈琲 消えかけの街灯 シアン化合物 影を落とす ファンヒーター 古い毛布 思考の隅を 這い回る蜘蛛 ケロイド状の私 記憶がへばりつく 何も知らない 何も聞こえない 老いた思考 衰えた身体 誰かこの鈍に 油を指してくれないか 私はきっと 錆びてしまったのだ 時の流れが 早すぎるのだ 日に日に衰え朽ちるこの身体と 目の前で息絶えた 夢の中で 相容れない感情と 思考に折り合いを付け 今日も只管に 生活を謳歌する ありふれた欺瞞は 煌びやかな 刃物となって たった今この右手にある 向ける先を失った確かな号哭は もういらないから潰してしまおう きっと誰もが思い描く理想像 リソースを割くには 少しばかり窮屈で 私は整理整頓というものが 大の苦手で 散らかすことばかりが 上達していく 灰皿代わりの空き缶には亡くした 夢を これでもかと 敷き詰めてしまおうか 後ろ髪には 捨てきれない羨望を これでもかと 結びつけてしまおうか 手持ち無沙汰な花瓶には 溢れた涙を これでもかと 満たしてしまおうか 私自身には身の丈にあった幸せを これでもかと 埋めてしまおうか 悲しい過去には 柔らかな毛布を これでもかと 包んでしまおうか 先が見えない明日には 淡い蝋燭を これでもかと 燃やしてしまおうか 衰えゆく生には 緩やかな死を これでもかと 沈んでしまおうか