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家を解体した

Track by狐火

34
1
  • 2024.03.26
  • 3:48
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歌詞

何もなかった空き地に家建てる時は 想像が先行し これからの生活とか 生まれてくる子供の部屋割りとか 庭には 春先にきれいな花が咲く木を 植えようとか 家族が団らん出来る様に 広めの台所と茶の間 便所は和式と洋式で悩んで 結局隣り合わせに両方作った 風呂場は冬は寒いけれど薪を 取りに行きやすい場所 煙突の兼ね合いもあるから 炭焼き小屋と並行し立ち上る煙を 想像しながら見上げる何もない空 「ここからだって」 最初の人生は1人で生まれたが 第2の人生は家族みんなで生まれ 生きていく様だ 今から約 50年前にここには誰かの夢があった 希望に包まれ 描いた施工図の上 無くなって初めて気付くんじゃなく 無くなって初めて考えるんだと思う 「さようなら」 が残してくれた最後の後押し ここにあったコンクリートはもう 無い 代わり、土に還った 足跡だけが残った 風通しのいい 田んぼの真ん中 次は誰の夢が叶うのか 楽しみに見渡す またいつかここに家が 建ちます様にと涙を落とし解体 「帰りたい」と思えるような 家にしたい 楽観視なんて出来ない 人もまばらな田舎の商店 気軽にくつろげる場所も作ろうと 夢が店内の設計図を広げ まだ見ぬ たくさんのお客さんの人生の片隅に 残る場所だからと 新品のシャッターを開ける音は1 日の始まりの様で 何度も確認 店先に井戸があったらいいと 試しに掘ってみたら湧き水が出て 万歳 幸先はいい 何度も踏みしめる 店内のコンクリート 土台として申し分ない 骨より硬く強い自慢のコンクリート 何もなかった場所に少しづつ 出来上がる屋根 指さす方向にあった空は やがて店の看板になり 陽の下 顔出さない 木造の骨組みは 色あせず次に会える未来を根差した 無くなって初めて気付くんじゃなく 無くなって初めて考えるんだと思う 「さようなら」 が残してくれた最後の後押し ここにあったコンクリートはもう 無い 代わり、土に還った 足跡だけが残った 風通しのいい 田んぼの真ん中 次は誰の夢が叶うのか 楽しみに見渡す またいつかここに家が 建ちます様にと 涙を落とし解体 「家に帰りたい」 何度も思った小中高 「今日学校どうするの?」 何度も座った玄関先 柱に刻んだ成長の証 と背比べする今の自分 兄の身長を抜いていく 弟の笑顔がまだそこにある様で 冬の隙間風のお陰で 今日まで腐らずいれたのかも 震災の後に窓ガラス割られ 泥棒が入った時は 思い出に穴が 開いた様に悔しかったな 解体日のギリギリに思い付いた案が もしオレが 野口英世くらい有名になったら 生家として永久にこのまま 保存出来るのではという 途方もない提案 作り上げる時は 時間がかかったが 壊す時は 今までが夢だったんじゃないかと 思うほど一瞬で 「終わりは俺が引き受けるから お前には次の始まりを任せたよ」 無くなって初めて気付くんじゃなく 無くなって初めて考えるんだと思う 「さようなら」 が残してくれた最後の後押し ここにあったコンクリートはもう 無い 代わり、土に還った 足跡だけが残った 風通しのいい 田んぼの真ん中 次は誰の夢が叶うのか 楽しみに見渡す またいつかここに家が 建ちます様にと 「幸せな日々をありがとう」

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