卵の壁を越えられず

歌詞

朝食のテーブルに 黄金の目玉焼きがのっている でもフォークを伸ばすその手が 震えて止まる オムレツの香りが風にのって 舞い上がるたび 「食べたい！」と「ダメだ！」 が心で大乱闘 卵サンドに吸い込まれる人々の笑顔 コンビニの棚で並ぶプリンの誘惑 チーズケーキは笑顔で 手招きしてくる でも僕の世界には透明な 壁がそびえてる 卵の壁を越えられず 夢のスフレも遠くなる 一歩近づきゃ涙ぐむ 「もうやめとけ」と身体が叫ぶ カステラの柔らかい断層に触れたい シフォンケーキの雲に飛び込みたい けれど目の前の壁は分厚いバリア 思い出すのは 過去の大惨事の苦い記憶 友達がラーメンに卵落として 「うまっ」 僕は笑って拍手するけど心は シクシク 「別のトッピングにしなよ」なんて さりげない提案がいつも自分宛 卵の壁を越えられず レシピ本はただの絵本 白身も黄身も遠い国 国境は厳しく固く閉ざす けど諦めるのも少し違う 代わりの食材探せば光もある 豆乳プリンにライスフラワーケーキ 進化する台所は今日も革命中 それでも時々見上げてしまう 朝焼け色した卵黄のきらめき 「また別の人生なら 食べられたかな」 そんなセンチメンタルに包まれる夜 卵の壁を越えられず それでも歌にして笑い飛ばす 「制限があるから工夫もある」 そう信じて今日も生きている