狭いベッドの中で伝う天窓の線を なぞるように呼吸を整えた 今も考えている 生まれた時から 羽織っているさみしさについて 眠る君の肩に舞い降りた妖精と 夜が更けるまで踊り明かした 最終の書き出しが終わって 散らばった破片たちを拾い集めてる 1993 恋のような季節に生まれた君を 捕まえた田園で摘んだミモザのこと そっと目を閉じたのは 朝の光が眩しすぎたせいさ 君の頬に押し当てた お呪いのような消えないキスを 想像の歩幅を繋いでゆく ありふれたこの歌のように 歌うように吹く風 白いカーテンが揺れ 切実な日々はまた顔を出す いずれそこに戻れば 何もかも無敵だから少し待っていて 1995 濃い霧に揺れたイトスギの葉 オリーブの実を拾ったら 行こう葡萄畑へ そっと目を閉じたのは 朝の光が眩しすぎたせいさ 君の頬に押し当てた お呪いのような消えない甘いキスを 旅立つことになって誓った あの夕方に響くローファーの音 最後まで何も言えなかったけれど 今じゃもう気にしてないよ さよなら僕をいつか 通り過ぎていった天使よ 消えぬ心なら この雨のような日々 生き抜いたあとに吹くはずの 木枯しを待つよ さよなら僕がいつか 遠くまで辿り着いたら その場所でまた 狭いベッドの中で 伝う天窓の線を なぞるように呼吸を整えた 最初の隔たりが無くなって 散らばった破片たちを 拾い集めてる