遥か昔計算された 音楽論に基づいた、MIDIノート 消えまいとする生にしがみつく 醜い夜の話 丁寧な音階とメロディと、 彼女たちの歌 その裏で、膨大な不確定要素 人の声、人の声 正確に情報をデジタルに、0と1、 変換した先で 寸分の狂いも許されないその中で 「その間」も余地を与えぬ神の所業 それ一切が、 この世で溢れるデータの業 曖昧に吹いた様な、まるで、 桶屋が儲かるような、そんな 風が東から吹いたようだ しかし科学で計算し、推論し、 定義をし まるで、全て分かって居たかの様な そんな、日常を生きている 僕ら現代に生きる曖昧を表現する、 狂言者は 「日常」 の崩壊を目論んで、 その隙間を縫って生きている。 僕の右のピアスを正確に、 その偏西風は揺らせるか? 否、0と1の間の定義すら、 計算では求まらない。 それが只一つの抜け道ならば 僕たちが、生きる道ならば 誰も知らない崖に咲く、 一凛の花を撫でる そんな、孤高の一瞬を飾る風に、 僕は成ろう