脱ぎ捨てた靴下は未だ 玄関で朝を待っていた 午前二時の途中から 番組を切り替えて 独りでに点いた、テレビが こちらに声をかけていた 午前二時の途中から 番組を切り替えて 揺れた曖昧な夜に 独り夢の世界でずっと アラームを止めた 時間は進まないままで 小説の中で一人で 幽霊、何某のそれで 窓の外を見ていた 裸足で駆ける幻想を 呆然とただ眺めていた 今、或る時間は未だ 未だ淡白な青色で 開いた言葉のアイロニー 藍色に染まる世界からさよなら 雨の中で 乾いた言葉、止まった音は 不確かに彩る セピア色した世界からさよなら 朝が来ないまま 僕は息をひそめて夜を往く