火葬場のある高台を下って 近所の寂れたパチンコ屋さん横目に 一人暮らしの西陽が迫るアパート ラジオから流れてるクロマニヨンズ 風邪を引いたらさ「医者に行け」 としかめ面 君が好きだった 『スピードとナイフ』 猫が階段をトタトタとのぼってきて カラカラと皿に餌をやる どうして僕らは生まれてきたんだろ どうして僕らは死んでいくんだろ 耳にこびりつく誰かの音楽で 僕らはいつでも歌の中 「春がきたらさ旅にでも 行きたいね」と 丸をつけたカレンダー 風に揺れている いつか君からもらったオルゴールは 壊れた カタカタとゼンマイが軋んでいる 骨の爆ぜる音 パチンコ玉弾く音 僕を呼ぶ声 夕暮れのチャイム 膝で丸まって 猫は寝息を立ててる 遠くの方でたなびく煙 誰かと誰かが愛し合っても音楽 誰かと誰かが殺し合っても音楽 耳にこびりつく誰かの音楽で 僕らはいつでも ああ愛する人が生まれた日も音楽 愛する人を亡くした日も音楽 いつかは僕も消えていく音楽 鳴らし続ける風の中 僕はいつも歌の中