鍵の音(ね)が うすく 響く 玄関の光 消してもまぶしい 靴をそろえて 君がうつむく わたしの手のひらに 鍵がうつった ちいさな鍵の輪 しずかに止まる 言葉がこぼれず 喉だけかわく 強がりのえくぼ うまく作れない 鍵の音だけ ここに残る 終わりって鍵のかたち 手のひらにある 温かくない 涙もおりない 合鍵だけの静けさ 部屋にもどったら 音がなくて コップの水だけ ゆれてた 封筒の中で 鍵が冷たい たたんだままの ふたりの夜 捨てるとか しまうとか まだ決められず ただ見つめる 鍵の音だけ ここに残る 終わりって鍵のかたち 胸のうらが しずかに痛い 眠れなくても 鍵の音だけ 鍵をにぎっても だれも来ない はく息だけが 窓をくもらす わたしの鍵で ドアを閉めたら 新しい音が ひとつはじまる 鍵の音だけ もういらない 終わりって鍵のかたち 封筒を閉じる 夜が明けなくても わたしは歩く 合鍵だけの静けさ
