変わらないものはない その意味を知った日に 三角の夕日は 小さな双葉を優しく照らした 遠くの笑い声 部屋の剥がれた壁 色褪せていくテーブルの上に 消えていく懐かしさ 一度壊れた物語を 元に戻す力はない 窓辺に咲いた赫い花が 淋しいですと風に揺れる…揺れる 埃かぶったまま 主人を待つ鞄に 詰められた思い出 今はもう空の青さも知らない ドアが軋んだ後 閉ざされた暗がり 聞き慣れた音達が黙り込む これでもう終わりだと 一度壊れた物語は 元に戻せぬ哀しい詩 寄せては返す波のように ラジオの音だけ響き止まぬ ずっと…ずっと 一度壊れた物語を 元に戻す力はない 諦めきれぬ思いさえも 目を伏せここから歩き出すのさ ベランダに残された靴も 窓辺で萎れた赫い花も 本を抱き眠る本棚も デタラメな音を奏でるピアノも… さよなら さよなら