ソア区域

歌詞

信じていたものがあった, それは 揺るぎないものだと思っていた. どこかの童謡では 勧善懲悪がよしとされていて それに倣って生きていくことが 正しさだと信じていた. 老いぼれた若者の行き着く先, そこに正しさはなかった. 敬意を持って接していた人は, 古き慣習に飲み込まれていて それが正しいと、 疑いはしなかった. 悲しかった. 誰かに対して期待してしまうこと, そしてそれは幻想であること. 瞳を光が貫通し認識していたのは, 僕という ガラスを通したものであって, 本来のその人ではなかったのだ. まやかし まやかし 全てはまやかし 気高き理想は 僕の中にしかなかった. 悲しかった. 誰かに救ってほしかった. でも誰にも 救うことなんてできなかった. 「孤独になった」と感じた. でも元より僕たちは孤独だった. 一人で賛美歌を口遊む, 名前も知らない それはこんな僕にでも優しかった. 身体が景色に融ける感覚 風に揺れる 誰もが一人では欠けた月だから 欠けたものを拾い集める人 欠けていると叫ぶ人 誰かを「自分である」と思い込み 欠けていないと思う人 触れてはいけない場所 触れねばならぬ場所 遠くに神秘の光 けれど誰も見向きもしない 悲しかった ただ悲しかった 僕は悲しかった 何もできないことが悲しかった ただ考えることしかできないことが 悲しかった ただ抱きしめることしか できないことが悲しかった 言葉は無力だとわかってしまって 悲しかった 僕はそれでも歌っていて悲しかった 悲しかった ただ悲しかった もう生きているだけで悲しかった 勝手に傷ついてしまって悲しかった ちゃんとできなくて悲しかった それなのに普通に笑えてしまって 悲しかった 言葉は呪いになってしまった 約束もまた呪いになってしまった それでも祈ってしまった ずっと賛美歌を歌っている この部屋が僕の全てだった ずっと賛美歌を歌っている この部屋が僕の全てだった 最果てのフリをして手を離した. 最果てのフリをして手を離した.