腐った眼見開いて突き刺してくる 一輪花 無人駅の向こう岸にぽつりと 咲いている 淀んだ眼見開いて 離そうとしない一輪花 夜明け前の澄み切った空気を 吸い込みただ咲いている 吐いた後に残っていた 胃酸の味の現実感 この苦味忘れまいとからからの喉で 生きるんだ 濁った眼見開いて物言いたげな 一輪花 朝の音に滲んでいく 懐かしいような顔 塞いだ夜を覚えてるか? 刻んだ傷を覚えてるか? 何もかも忘れまいと掌に爪を 立てるんだ 朝焼けで君は溶けてゆく 長い夢を見ていたようだ 透けていく眼が告げている 夜が明けても未だ夢は 終わりじゃないんだと