荒れる呼吸を整えて 閉じた目蓋をそっと持ち上げてみる 見開いたその眼には 深海に溶けた景色が映っていて 鞄にあった辞書に 青の世界を鑑みてみるけれど 意味さえもこの文字は 教えちゃくれないな 潰れて折れた右腕を携えて 煉瓦の街に迷い込んで 顔しか知らない君だけを 追いかけた脇目も振らずに 歪んだ僕が辿り着いたその先は 狂ったような蜘蛛の巣があるだけで 絡んだ糸を解くことさえやめて 唸る鋸を振り上げて切り裂いたよ 彼を深く突き刺した ブリキのナイフ エゴイズムの刃 間違いと囁いた 群青を確とにらみつけるのさ 描いたその絵とは 何もかもかけ離れ過ぎていて 正しいと呟けば 恒星は曇り出す 煤けた無実の嘘で塗り固めた 無残な今を抱え込んで 疑念の犇めく十字路で 俯いてただ立ち尽くしてる 塞いだ僕が刻み込んだこの傷が 消えてしまわないようにまたなぞっ た 滲んで溶けた悲しみを癒すには これっぽっちの痛みじゃまだ 足りないけど 乾いた喉で絞り出すように泣いた 結んだ口元は愛を求め緩んで 淀んだ空が終焉を悟るように 湿る午後六時の風 歪んだ僕が辿り着いたその先は プライドと幼い寝言の墓場で 絡んだ糸の残りの屑を払うと ぼやける光の跡で弧を描いたよ 逆さ世界のエンドロール 嫌にクリアな窓ガラスに映る 走馬燈を見てた 薄目を閉じて意識は途絶えた