例えば死にそうな子犬が 目の前に居るとして 目もくれずに歩き去るような 虚ろな人生に宛がう厭世の生き 方に寂しそうな閑古鳥が鳴いている 少しずつ降り積もった 部屋の片隅の埃も掃き捨ててしまう 勇気がなくて 徒に過ぎ去った時間を恨んで磨り 減ったプライドをぶら下げ今日も 白い息 粉雪の舞い散る真冬、私とあなた 射貫くように見据えた悪魔の眼差し 廻り出す錆びた メリーゴーランドに揺られつつ捻り 出した 惨めなこの僕を愛してくれ 偽りの想いは両手で捕まえて 固めたら 泡みたいに消えてしまうんだろう 絡みつく憂いにこんな深くへ 沈められて哀しそうな私の声が 聞こえる 冷めたホットコーヒーは 青の絨毯に降り注ぎ孤独より 深い染みになる 頑なに全て拒み冷え 切ったこの右手も気づけば虚しく 空を切って 歌が聞こえるよ、 晩冬を讃える優しくも残酷な春を 願う歌が 二十九ページ目に憎悪の栞をそっと 挟んだこの踏切で愛の幕は 下りるのさ さよなら、 嘘つきなあなたに手を振るよ 響くサイレン遍く悪魔の囁き 喚き出す錆びた メリーゴーランドの外側で 笑っていた この世のものとは 思えないほどいびつな笑顔で 許さないから