絵空事でさえも描けない そんな彼らの中にいるのが空しい でもこの感情も 何にもなれないんだなって 分かって、泣いた 無痛の愉楽を乞うばかり 継いで接いだ道の上 朽ちた花蕾 遥かな水平線を運ぶ窓枠に、 そっともたれていた 心臓を伝う問が、 苦しげに日々を吸い込んで しじまを 湛えるだけの舞台装置に変換する 橙 灰 藍 空の隙間で 発車時刻を待つ 「次とまります」 バス停の灯が海辺の街を暗く照らす 3度繰り返しては捨てる彼らを 乗せて 流れバスが行く 虚言でさえも唄えない そんな彼らと揺られてるのが虚しい でもこれを降りたら 何処にも着かないんだなって 気づいては、いた 無償の愛すら買う始末 猜疑心を撫でる潮風と葉鳴り 発つ朝置いてきた、 書きかけの秘密を想った 時が凪いだ ぽつねんと光る解が、 見放した日々を吐き出して 遠ざかっていく天文台を白く 曇らせる 抱いた痛い肺 動く合間に 降車地点を待つ 「次とまります」 明日最後の便が出るらしい、 と泡を食う とうに願えなくなった彼らを 降ろして 流れバスが行く 今更歩いて行けないよ 自分で憧れた場所なんて 夜が来ないと夢も覗けない こんな生活じゃ 「次とまります」 降りもしないのにまたボタンを 押している ずっと何処か探している 「次とまります」 バス停の灯が消え、 汀には誰も居ない 呼吸をする僕一人乗せて、次の街へ 流れバスが行く