当て書きなのに代わりが効くなんて 残酷なこともないよな 精々脇を固めて 僅かな出番を窺っ て 舞台の隅で指を咥えて観ていろ ノイローゼになるほど読んだシナリ オも 大半はまだ白紙のままで 思いつきで吐いたセリフが また空回っては消えてく 見せ物だって構いやしないぜ 切れかけた蛍光灯の下で 今夜もまたひとり 蚊の鳴くような声で歌っている 満持して登場!たかがワンシーンも 演じ切れないのにさ 他の誰かに縋ってんなよ 嘘で固め た舞台に 千客万来!なんて夢を見たんだ こ んな狭い部屋の中で 見え透いたジョークで もう自分さえ騙していくしかないね 喉元過ぎたら全部忘れてさ 楽しいことだけ考えていたいのに 酒を浴びたら思い出した 僕は君になりたかった 不安定に昼夜、グルグルと回れど 何を生み出すわけでもないし いつまでもうまく飛べず 人知れず鳴くのさ閑古鳥 身の丈に合ったものなどないから 何処ぞからかくすねてきただけの 愛と勇気は今からでも 友達になってくれんのかな 篝火で ハリボテの背景を燃やし尽 くせば 君の顔がチラリと見えた 外連味も浪漫もありゃしないが 拍手喝采!渇いた音が響き渡る空 雨でも降り出せば それなりに映える画になってくれる のにな ついに蛍光灯が事切れた クライマックスも近いようだし ここいらで涙の一つでも流しておこ うか 待って!止まって! たかがワンシーンも演じきれないの にさ こんな時だけ止まんないんだよ 棒読みの声が震えて これ以上は種も仕掛けもない言葉た ちだから 見え透いたジョークじゃ もう自分さえ騙しきれなくなった