只 立ち尽くす 丈 彼(か)は 産土(うぶすな)を 恤(めぐ)む人 禍(まが) 遥か 遠く 連れ立ちたい 春の場(にわ) 謀(はかり)を 捨てて 欺罔(きぼう)も 失せて 溢るる 泪さえ 消えぬ儘(まま) 貴方が 択(えら)みし 所為(そい)の轍(わだち) 私怨(しえん)を 忘れ 故に ?(もが)いて 訪れし 末路を 容(い)れぬ儘(まま) 私に 残りし 移郷(いごう)よ 此の瞬間(とき)を 挿頭(かざ)す 未だ 忍び泣く 丈 川 浮津(うきつ)など 要らぬ人 更(さら) 揺(たゆた) 揺(あゆ)き 泳ぎて 連らなりたい 果つる迄 鑑(かがみ)を 捨てて 非望(ひぼう)も 伏せて 爛(ただ)るる 疵痕(きずあと)も 癒えぬ儘(まま) 貴方が 殺(あや)めし 族(ぞう)の轍(わだち) 私怨(しえん)を 忘れ 故に ?(もが)いて 訪れし 末路を 容(い)れぬ儘(まま) 私に 残りし 移郷(いごう)よ 其の瞬間(とき)を 別(わか)つ 禍(まが) 遥か 遠く 連れ立ちたい 闇の奥 明かりを 棄てて 冀望(きぼう)も 失せて 群がる 闇の前(さき) 見えぬ儘(まま) 貴方が 描いた 愛の轍(わだち) 私怨(しえん)を 忘れ 故に ?(もが)いて 訪れし 末路(まつろ)を 容(い)れぬ儘(まま) 私が 望みし 帰郷よ 此の瞬間(とき)の 中に