思い出したのはいつかの 凛と刺した風のこと 痛むほどに冷たいのに 笑い合う理由に選んだ 触れたその指の温度を 愛しいと思ったこと 今 届くことはなくても そこに君がいたこと 君が何を嫌って 何を守りたいのか 幼すぎたわたしは 探せなかったな 鮮やかなことだけ スノードームには詰め込んだ 過去を今 正しく切り分けるように 君が笑っていた 澄み渡る大気の中 冷えた手で繋げたから その暖かさが判った ふたり よく似ていた それがただ嬉しかった いつまでも続くこと 疑う余地もないまま 雪を喜ぶような 幼気な気持ちで 街を彩ったライトが 何故か胸を打ったこと 意味に辿り着けないまま 止まるわたしと 廻る星 君が好きだった色に 染まる街は悪戯に 思い出せば痛むのに まだ輝く 煌々と ガラス細工みたいな 儚い時間の中 憶えていられるのは どれくらい 空はもう暗い いつか君が溢した 暖かな涙は 昨日のことのように 思い出せたんだ 忘れかかっていた 消える筈ないと思ってた 降る雪が思い出させた あまりに美しい記憶だ どこか判っていた 忘れちゃいけないこと 寂しさは 愛しさのその後に残るもの 手探りで確かめた 心の内側 君が笑っている ぼやけた記憶の中 今日の街が冷たいから あの暖かさが判った 雪の街でひとり 灯りのなかで思う 変わらないものを探せど ある筈もないということ 君が教えてくれた 寂しさを抱いて 忘れてしまいたくないな 街はまだ 綺麗だ