将来の夢はなんですか? って聞かれてフリーズする午後三時 昔はヒーローになりたかった 今じゃスーパーの袋詰めエース 履歴書の特技欄に 「寝ても覚めても夢見がち」 実行力ゼロの理想主義 そろそろ現実と握手しようか? そんなとき、見つけた広告 「夢追い代行、初回無料!」 なんだそれ、って笑ったくせに リンクをクリックしてる自分がいる 夢追い代行プラン! ぼくの代わりにオーディションへ 緊張して胃が痛くなるとこも まるっとお任せ、よろしくどうぞ! 夢追い代行プラン! ぼくは家で応援してるだけ ステージのライトがまぶしくても 見てるだけなら、怖くないんだ 「作詞家志望」と伝えたら 代理人、即興で歌い出す 「この世界、競争激しいけど」 って、そういうのは聞きたくない! カフェで打ち合わせ、なんだかプロ SNSでもすでにフォロワー多数 自分の夢のくせになんで 他人の方がワクワクしてる? 「一歩目が出ないだけだよ」 代行の彼は笑って言った だけどその一歩が永遠に 出ないこと、もう知ってるくせに 夢追い代行プラン! 小さい頃のあの夢も 大人の都合で棚に上げたまま 代行でホコリを払われた 夢追い代行プラン! けれどふと思ってしまった 他人が叶えてくれた夢は ほんとにぼくの夢だったっけ? 拍手の音が遠くで鳴る ステージの上はまぶしいな もしあの日、飛び込めてたら 今と違う未来があったかな 夢追い代行、ありがとう きみが夢を背負ってくれた でも次は、代行じゃなくて 自分で走ってみたいんだ 夢追い代行プラン終了! さあ、ぼくの番だ 夢に会いに行こう!