晴天から落ちる鉄塊の巨大 十字路に白紙の暑中見舞いが降る 暑さで転がる死体 俺は今日もうんざりしていた 真夏の路上には正しく 崩壊寸前の古い雑誌 横切る自動車 戦場と化した炎天下 休息を求む 廃看板の過剰な色彩が 漂う熱を可視化したようです 風鈴の限界を越した空間 俺は無人の販売所で 崩落を見ている 傍ら晴天は健在 電柱を溶かしております そりゃ動かんのは楽です 記さんだけの夏は楽です 全て放棄して俺は 人工の涼風にあたりたく また静寂を望む 望んでいる ふと気が付けば正面から 頭垂れたカラクリの少女の軍勢が 足取り疎らに俺の両脇を通り抜ける 鉄塊の巻き上げる砂埃が 朽ちた雑誌に とどめを刺す 大輪の夢などは実に空虚であるため 落ちる汗の一滴で熱を凌ぐ 警報の反響具合が 脳を揺らす午後二時のこと 俺はうんざりして 何気なく手帳に書き記す 夏の歪、夏の不快、 夏の怪奇を事細かく 複数の太陽で照らされた鉄の残骸 突き刺した炎天下 あの子の影 絶叫する蝉時雨 怪文書の張り紙がふわり あの子の影 絶叫する蝉時雨 怪文書の張り紙がふわり 晴天は健在、笑顔の隣 俺、繰り返す季節 繰り返す焦燥、繰り返すこの街は 夕暮れを知らん 電柱の回廊と水銀温度計が 中盤に達している 人工の涼風が揺らす風鈴 展開されて あの子の影 絶叫する蝉時雨 怪文書の張り紙がふわり あの子の影 絶叫する蝉時雨 怪文書の張り紙がふわり あの子の影 絶叫する蝉時雨 あの子の影 怪文書の張り紙が ふわり舞う 舞っているのは晴天 巨大な影と圏外の携帯電話、 古アンプ 俺はこの地獄40℃を手帳に書き記す 書き記している 晴天から落ちる鉄塊の巨大 十字路に白紙の暑中見舞いが降る 今日もまた