狂ったのは自転か公転か 真冬に現れた異常な猛暑 山へと続く一本しかない道を 黒い毛皮で輪郭を曖昧にした 何かを持って進む大きなマシン 手にしていたのは牛刀か、それと ああ、きっとそれを山に捧げるのだ 人の腕でないことを祈った何か 狂ったのは地軸か軌道か 真冬に現れた異常な猛暑 山へと続く一本しかない道を 白い表皮で輪郭を曖昧にした 何かを持って歩く大きなマシン 手にしていたのはノコギリか、 それと ああ、きっとそれを山に捧げるのだ 人の脚でないことを願った何か 思わず崩した姿勢で付いた手が 焦がされた鉄の蓋の上 音すら立てられず動けなかったんだ 残った手で口を抑え息を止めた 正常なのはアダムかイヴか 赤いケープだけ纏った二人組 それを 剥いでしまえばわからないのに それを剥いでいなければ 人ではなかった 何かをもって歩く男と女 手にしていたのは牛刀とノコギリと そうだ、それを山に捧げにいくのだ 胴がない、胴だけがない そこで見た怪をぬぐい去るために 焦がされた鉄の蓋の上 あの日見た中で一番鮮やかな 赤を選んだ知恵ではなく病を宿した それぞれの恐れを葬り去って 写し出でたのは異形の人類 ああ、狂ったのは他でも無いかな 真冬に現れた突然の猛暑
