元旦の朝はゆっくりスタート お雑煮食べてテレビをつける 駅伝ランナーが駆け抜けて こっちはこたつで丸くなる 気がつけばテーブルの上には 山盛りみかんのオレンジ色 「一個だけ」と手を伸ばせば もう一人も同時に伸ばす 「あ、それ俺のだろ?」 「いや、早い者勝ちだよ!」 皮を剥く音が勝負のゴング 白い筋まで取り合いバトル こたつ布団をめくり上げれば 足のポジションも戦場になる 「おい、踏むなよ!」 「ちょっと広すぎ!」 足の小競り合いで布団は揺れる テレビのリモコンも熾烈な争い 「お笑い観たい」vs「箱根駅伝」 勝者はこたつの中で笑い 敗者はみかんを投げやけ食い こたつの中は温泉みたい 眠気と甘さで武器は無力 でも誰も出ようとしないのは 外が寒すぎるから 結局みかんは全部なくなり 皮の山だけ積み上がる 「食べすぎたな」と笑いながら こたつの中で休戦協定 戦いの後に残るのは 温かさと少しの満腹感 こたつとみかんの元旦戦争 勝ち負けよりも幸せだった