星の煙る夜に 記憶の底巡る夜に 眠れない僕を呼ぶ声に そっと抜け出した 逸り出す予感を追う通り すれ違う灯りを頼りに 悴んだ両手を線上に 重なってく二つの影 雪の様に透き通っている 駆ける 光を集めて 遥かに潜んでいる 感覚に眩んだ手を繋いで 程無く祈ぐその指が震えない様に いつか見たあの白銀が見たくて目を 凝らす 月に 指先に 触れて消えて溶けてく 見失わない様に足跡を残して 眠りゆく街灯す真夜中 白に 幽かに囁いた風に誘われ 果てを探して ひらりと兆しを告げる空の奇跡 欠片を詰め込んだままに溢れた ポケットの中 ひとつひとつ抱えて やがて僕の元で育ってくから 近くで煌めいている 光を満たして 僅かに滲んでいる 静寂に揺らいだ息を吐いて 思い描くこの夢が夢でない様に 音を忘れては優しく降り積もる 淡くて 暖かくて 心を象るもの やがて空白に溶けてしまうなら いつまでもこの時を止めてよ いつか見たあの白銀が見たくて手を 伸ばす 銀に 輪郭に 濡れて冷えて染めてく もう壊れない様に温もりを添えて 凍り付く街踊る真夜中 ただ 白に 音の無い夜にすべて生まれ変わる いつかの願い描いた身の果てに 何が見えるのだろう 明けないまま終わるように 沈みゆく街濯ぐ真夜中の雪の日 白に灯る