サフラン色の水平線 君は煙草をくわえて その向こうを見ていた この腕の小さな傷は 子どものころので 大切なんだって言っていた 強い風の中を小さな車で 半島は細く伸びて 誰もいない道の消失点 最果ての岬へ 君が生まれた町でこの海は 見えるかい ねじれた木の丘を縫うように走る 思い出も燃えて 暗闇に追われながら ススキの中を行く細い道は続く 廃屋に陽が落ちて 行き場のない二人の影は 消えていくけど もしも最後の夜が不意に訪れても 僕たちは手を広げて ここで待とう 静かな海に光が沈む 君が生まれた町でこの海は 見えるかい 押し込めた痛みもすべてが戻る 海鳴りの中で 暗闇に追われながら