あなたが微笑む後ろ姿で どれほど窺い知れていただろう 瞳に映した風景のこと ぼやけた輪郭が指し示すこと まだふたり出会えなければ きっと幸せなままでいた 春の始まりへ遡り 青い芽を摘んでしまえば 枯れたアザレアの花をひとつ 胸に抱くわたしは独りだ 闇雲に伸ばした手が触れた 心は黒く燻んで 撫でる度に崩れた その物語の行間へ 入る隙は残されていなかった 夢見がちな淡い恋心に絆された 届かない想いはずっと 行き場無く彷徨い歩く あなたが流した涙に 気づけずにいればよかった 間の抜けた声「また明日」 そんなことできないよ あぁ 枯れたアザレアの花をひとつ 胸に抱くわたしは独りだ 遊び疲れた子供のように 無償の愛を求める 失う事も恐れず アザレアの種をひとつ そっと埋めた 咲く事も無いのに 夢見がちな淡い恋心に絆された アザレアが俯いている 噛みちぎる事も出来ず 吐き出した芽 全てかき集め 失くさないように焚べて 空を仰ぐ あなたの背中に あの日降り注いだ 痛み、悲しみに わたしが側に居ると 言えたのなら