おばあちゃんの家には CDを再生する機械がない それでも俺のCD発売日には CDショップに行き CDを買ってくれる レジで会計を行う際 店員さんに聞かれもしていないのに 「この子うちの孫なんです」と 自慢げに話すという話を 母親が笑いながらしていた おばあちゃんの家には CDを再生する機械がない だから買ってきた CDを聴くのではなく ひたすら歌詞カードを読み 込むという 独特の再生方法で 作品に触れてくれる 3rdを出した直後 声のトーンでおばあちゃんと 電話してると分かる母親が 急に受話器を差し出し 俺に代わるよう促す 「何か 電話口の向こうでえらい 泣いてるんやけど」 「陽だまりの詩」を聴いた というか読んだおばあちゃんが 何かを勘違いしたらしく 「おばあちゃんは 洋平のためにたくさんおもちゃを 買って来たんやけど あれは良くなかったことなんよね ごめんね」と言って わんわん泣いている おばあちゃん おばあちゃんは CDで聴いてないから 分からんかもしれんけど あれは すごく優しい曲の上で歌ってるんよ それにあれは勿論 それがアカンかったとかじゃなく 「ありがとう」っていう 感謝の気持ちを歌ったうたなんよ ワイドショーを 見てるおばあちゃんに 「これ何やってるの?」と聞くと 「これはミッチーサッチー騒動と 言って 今世界で起きてる 一番おもしろい出来事よ」と 教えてくれた それを信じた俺は 小学生ながら その後の行方に注視した 電車で少し 騒がしい高校生達に 何のためらいもなく 注意するおばあちゃん チラシの裏に描いた絵を 全部大事にしまってくれているおば あちゃん オバケの絵本も 声に抑揚がつきすぎて 笑い話みたいになっていたおばあ ちゃん この曲はね 愛に溢れたメロディで 旋律が1つ1つ大切に紡がれ 奏でられ めいいっぱいの感謝の気持ちを 声に込め おばあちゃんの顔を浮かべながら 孫が歌ってるよ