「ラジオをゼロにあわせて。 天使の歌声が指し示す場所で、 ボクはキミのものになる……」 凍てついた星空 遠い日の雪解け 蒼穹に還りゆく 追憶の譚詩曲 古びたラジオを、 ただゼロにあわせる 流れ出る歌声は 祝福の幻想歌 その声音は花のように その吐息は霧のように たおやかに咲き誇り 僕らに浸透していく この世界でたったひとり 生存する天使の血族 柔らかに紡ぐ天使語は、 はばたくように響き渡る 繰り返す再生は 希望への跡先 地に空落ちるなら この旋律で迎えよう 僕達を魅了する 天上の歌声 夕闇に見る幻は 空に舞う白い翼 旋律はどこに向かい 消えてゆくのだろう? 最後まで聴いていたい。 叶うなら 現実と夢が溶けて ひとつになる瞬間 僕達は、一筋の風になる 『現実は夢の中に。 そして幻想もまた、 夢の中へ溶けてゆく。 天使の言語は、 銀色の月に反射した。 優しく、ココロの奥底へ、 語りかけるように……』 色あせる輝き 逝きし世の面影 蒼穹に還りゆく 幻想の蜃気楼 繊弱やかなセンテンスの指し示した 道筋には 七色に煌いた 虹の橋が架かってる すぐにだって飛んでいける この旋律の向かう場所まで 柔らかに紡ぐ天使語は、 誘うように響き渡る 厳かな夕凪は 終わりへの餞 世界が朽ちるなら この旋律と迎えよう 思春期の僕達は 天上の言葉に 導かれるように高みへ 羽根広げ空を目指す 旋律はどこに向かい 消えてゆくのだろう? 最後まで聴いていたい。 叶うなら 現実と夢が溶けて ひとつになる瞬間 僕達は、一筋の風になる 「あらゆる場所で、 少年少女達が不審な死を 遂げていた。 高所からの連続飛び降り自殺。 まるで空を 飛ぼうとするかのように、 背中に羽根があると 錯覚したかのように。 識者はその症状を天使病と呼称。 原因は、未だ不明とされる」