春にゆこう 琥珀の目 空も曲げて 甘やかに花は爛れて 蕩け落ちる四季のむくろ 底へゆけば濃ゆく 頬を拭う 銀の翅 雷のよう うつしとり 小瓶に詰めた 油のなかで眠る花 甘たるい痺れに 浸かってはいけないよ いこうよ ねえ うたを うたう ときは 誰より小さくあなたを呼びたい! ささやかな手渡しの連続 つきひを渡る 星をまわる 約束 しようよ ね 春に憩う きみのねむる目蓋みたい まだつめたい氷の奥は 真水の下の行列は 弛み出して戸惑う 鱗をひからせ暈けてはみえないよ いこうよ ねえ いやな風のにおい ぼくのいない窓を 閉め切らないで 「どれを選んでみよう」 ぼくのいない扉を 逃げ出さないで 「これをむすんで」 「いこう」 誰より小さくあなたを呼びたい! ささやかな話を手渡し 続けられるかな つきひを渡る約束 星をまわる約束 しようよ ね 春にゆこう 琥珀の目 空も曲げて 甘やかに花は爛れて 蕩け落ちる四季のむくろ お祝いがふえていく